所属:ムック 名前:ミヤ
タイトル:ミヤと愉快な仲間たち

【05:30】雅哲くん、起きて…ねぇ、雅哲くん…。
【05:31】………うぐぐ。
【05:32】雅哲くん、ほら起きて…。
【05:33】ん………??
【05:34】オフの日の早朝から目覚まし時計に起こされる。
     今日は何か用事でもあっただろか。
【05:39】不思議に思い、悩んでいると目覚まし時計が話しかけてきた。
【05:41】そうか、俺がうなされているのを見かねて起こしてくれたのか。
     ありがとう、目覚まし時計。
     お前のウィスパーボイスはいつ聞いても愛らしいよ。
【05:43】夢で逹瑯に非常に屈辱的な思いをさせられた気がする。
【05:45】……はぁ。
【05:46】深いため息をつく俺をみんなが励ましてくれる。
【05:48】だよな、夢なんて気にすることないよな。
     こんなに朝早いんだしたまにはジョギングもいいよな。
【05:50】ありがとう、電気カーペット。俺ちょっと朝の空気吸ってくるよ。
     戻ってくる頃に丁度よく暖まってるようにしといてくれるって?
     お前、本当にいい奴だな。
【06:00】やぁ、相棒。今日も頼むぜ。
     相棒のスニーカーを履いて部屋を後にする。
     みんな、行って来るよ。
【06:05】清々しい朝だな、相棒。でも、やっぱり少し寒いか?
     はは、そうだな。走ってるうちに暖まるよな。
     お前はいつも漢らしくて頼りになるよ。
【06:11】通りの電柱一本一本に笑顔で挨拶。
【06:20】2丁目の電柱に朝から健康的で立派だと褒めらえる。
     よせよ、照れるじゃないか爺さん。でも、ちょっと嬉しい。
【06:33】スニーカーに少しペースが落ちてきていることを注意される。
     ありがとう、お前って最高のペースメーカーだな。
【06:42】公園に辿り着いた所で野次が飛んできた。
【06:43】「眉と目の区別がつかねーよーな顔でヘラヘラしてんじゃねーよ!」
     公園前の電柱(元ヤン)が俺にメンチを切っている。
【06:44】負けじと鬼目で応戦する。
【06:46】睨み合い続ける電柱(元ヤン)と俺。
【06:49】「ぐっちゃ、そんなとこで何やってんべ?」
【06:50】……逹瑯だ。
     早朝から出くわすなんて最悪だ。
     だいたいなんでこんな時間から起きてるんだ?
【06:51】ミヤ「…ジョギング……」
     逹瑯「マジ?!ジョギング?!ぎゃははは、最高!!」
【06:52】何がそんなに楽しいんだ?頭大丈夫か?
     …よく考えたらここは逹瑯の家の近くじゃないか。
     電柱の感じが悪いのもきっと逹瑯のせいに違いない。
【06:54】逹瑯を無視して来た道を引き返すことにする。
【06:55】逹瑯「何無視して行こうとしてんだよ!」
     うるさい、うるさい。
【06:56】俺の気持ちを察してくれたのかスニーカーが
     先程にもまして包み込むように足にフィットしている。
【07:01】あ、今ならメダル狙えるかも…。
【07:02】逹瑯「必死こいたって足の長さが違うからな、ぐっちゃ!」
【07:05】逹瑯がまったく引き離せない。
【07:06】走りながらも鬱になる。
【07:07】スニーカーが俺を叱咤する。
     よし、ラストスパート頑張るか。
【07:10】電柱達も俺を応援してくれている。
     今だけは逹瑯にとっくに引き離されて単独走になっていることは忘れよう。
【07:13】帰宅。
【07:17】俺の為に暖めてくれていた電気カーペットの上に
     でかいのが寝転がっている。あの禿…。
【07:18】電気カーペットにアイコンタクトで謝る。ごめんな。
     逹瑯「ぐっちゃ、早く朝飯。」
【07:19】ちょっと、お前何様なんだ?
【07:21】逹瑯「あ、屁が出た。くせぇー。」
【07:22】最悪だ。もう本当にあいつ最悪だ。
     電気カーペットが苦悶の表情を浮かべている。
     部屋中の親友達も迷惑そうな顔をしている。
【07:23】みんな、ごめんな。
     不本意だけど朝飯食わせてさっさと追い返すからな。
【07:25】トーストと目玉焼きとコーヒーを準備する。
     俺が不甲斐ないせいか誰も目を合わせてくれない。
【07:27】鬱になる。
【07:30】誰も慰めてくれない。
【07:32】死にたくなる。
【07:37】逹瑯「ぐっちゃ、早くしろって!」
     ミヤ「とっくに出来てる…勝手に食ってさっさと帰れよ。」
     逹瑯「げっ、半熟じゃねーのかよ。」
【07:38】文句があるなら食うな。帰れ。
【07:45】逹瑯「ごち!じゃ俺朝帰りで疲れてっからベッド借りるな。」
     ミヤ「はぁ?自分の部屋で寝ろよ!!」
     逹瑯「………んが。」
【07:48】……もう寝てやがる。
【07:50】今なら一思いに…いやいやいや、さすがにそれはまずい。
【07:52】ああ、欝だ。死にたい。
     逹瑯を消せないなら俺が消えるしかない。
【07:55】寄りかかった壁がいつにもましてひんやりとしている。
     そうか、お前も怒ってるんだな。ごめんな。
【08:00】誰も話しかけてくれない。
【08:03】ベランダに出てみんなの冷たい視線から逃れる。
【08:08】欝だ欝だ欝だ欝だ欝だ欝だ欝だ欝だうt(ry
【08:13】部屋の中からヒソヒソと話す声がする。
     みんなで俺の悪口か…いいさ、悪いのは全部俺さ。
     好きなだけ罵ればいいさ。気が済むまでな…。
【08:15】泣いてなんかない。
【08:24】それにしても寒い。心も身体も冷え切っている。
【08:35】パトラッシュ…俺もう疲れたよ……
  ・
  ・
【15:05】ぎゃああああああああくぁwせdrftgyふじこlp;@:!!
【15:06】けたたましい悲鳴で目を覚ます。
     俺…寝てたのか。今朝早かったしな。
【15:09】それにしても、今の悲鳴は逹瑯?
     こんなにも落ち着いているのは悲鳴の主が逹瑯だからだろうか。
【15:10】カーテンの隙間から中の様子を伺ってみる。
     バタバタバタバタバタバタ!!!ガチャン!!!
【15:11】逹瑯、あんなに急いで帰って…用事でもあったのか?
【15:13】恐る恐る部屋に入ってみる。
     ……ぎゃぁ!!!
【15:14】目の前に広がる大量の黒い何かに一瞬驚く。
     これは…髪の毛…?いったい誰の…??
【15:15】何故かみんな心なしかニヤニヤしている。
【15:17】天井にどう言うことか事情を聞いてみる。
     部屋中を一番良く見渡せるのは天井だからだ。
【15:19】え?俺が可哀想だったのと逹瑯の屁があまりにも臭かったから
     仕返しに髪の毛を数本むしってやった?
【15:21】みんな……!!!!!
【15:22】涙で霞んで視界がぼやけてしまう。
     みんなが泣かないで、と声をかけてくれる。
【15:23】いいんだ、これは嬉し涙だから。今は泣いてもいいんだよ。
     みんなの俺に対する優しさに心から感謝する。
【15:25】あまりにも嬉しいので「数本」とはとても言い切れない
     現状の悲惨さは黙認することにする。
【15:27】じゃあ、俺この数本の髪の毛達を掃除するからな。
【15:30】シーツをベランダに運んで風にはためかせてみる。
     勢いよく寒空に数本の毛達が舞い散って行った。
【15:33】電子カーペット、俺を暖めてくれるのか。
     ありがとう、身体はまだ冷えてるけど心はもうポカポカしてるよ。
【15:35】ふと、玄関に見ず知らずのニット帽が倒れているのを発見。
     みんなが、あいつの帽子だと口々に不快感を示す。
【15:37】みんな、待ってくれ。こいつ震えてるよ。
     どうしたんだ?と問いかけてみる。
【15:40】何?逹瑯のところにはもう戻りたくない?
     どう言うことか詳しく聞いてみる。
【15:42】どうやら、逹瑯に被られることは帽子にとって
     相当ストレスを感じることらしい。
【15:45】もう、抜け毛を気にしながらフィット感を提供することも
     帽子の下を想像してニヤニヤする好機の目に晒されることも
     抜け毛を発見した時のこの世のものとは思えない逹瑯の形相も
     何もかもがうんざりだと言うことだ。
【15:47】お前も苦労したんだな。
     あぁ、ニット帽の奴泣いてるじゃないか。
【15:49】よし、お前俺の家に来いよ。逹瑯には黙っててやるから。
     ニット帽がとても嬉しそうな表情をしている。
【15:50】ニット帽との間に友情が芽生える。
【15:52】みんなも暖かく迎えてくれたようだ。
【15:54】ん…?逹瑯から着信だ。
     逹瑯「ぐ、ぐ、ぐ、ぐっちゃ!!」
     ミヤ「何?」
     ついついニヤニヤしてしまう。
【15:55】逹瑯「なんか慌てて帰って…わ、悪かったな!」
     ミヤ「いつものことだろ。」
     逹瑯「…それで、な。俺帽子を置き忘れてないか?」
     ミヤ「いや。なかったよ。話はそれだけ?」
     逹瑯「あ、…なかったか…。」
     ミヤ「ああ。じゃあな。」
     逹瑯「え、ちょ…まだ…」

     −−ブツッ−−
【15:57】ヤバイ、どうしても顔がニヤニヤしてしまう。
     ザマーミロ、逹瑯。
【15:58】みんなが俺に拍手をしてくれた。
     ありがとう。みんなのおかげで今日はぐっすり眠れそうだよ。
【16:00】ニット帽、お前を外で被ることは出来ないけど、
     ナイトキャップが欲しかったから丁度良いよ。
     これから、よろしくな。
【16:01】ニット帽がはにかみながら微笑んでくれた。
     みんなもそれを暖かく見守ってくれている。
【16:03】俺って今、日本一幸せな男だな。
【16:05】あ、そうだな。そう言えばまだ何も食べてないよな。
     みんなが俺の身体の心配をしてくれる。幸せだ。
【16:07】やっぱり、オフの日は家でみんなと過ごすのが最高だ。
【16:10】食事の準備をしていると茸頭から着信。
【16:10】あんな奴構っていられない。出ない。
【16:12】メール着信。無視。
【16:20】メール着信。無視。
【16:28】メール着信。無視。
【16:32】メール着信。無視。
【16:38】着信。無視。
【16:46】メール着信。無視。
【16:49】メール着信。無視。
【16:54】着信。無視。
【17:05】メール着信。無視。
【17:08】メール着信。無視。
【17:10】いい加減にしろ。
【17:12】着信。無視。
【17:18】着信。無視。
【17:25】着信。無視。
【17:40】着信。無視。
【17:43】携帯の電源を切る。
     いや、お前が悪いんじゃないよ。茸が悪いんだ。
【17:44】茸のせいで携帯の機嫌を損ねてしまった。
     折角のいい気分が台無しだ。
【17:50】携帯を宥めすかしながら早めの晩御飯。
【17:53】携帯も分かってくれたようだ。
【17:55】やっぱり俺は今日、日本一幸せな男だな。
【18:40】みんなと語らいながら食べていたらゆっくり食べ過ぎたようだ。
【18:50】みんなでテレビを見る。
【18:55】あぁ、ごめんな。お前はいつも見せるばかりで見られないもんな。
     ほら、この鏡でお前も見られるだろ?
【18:58】テレビもご機嫌だ。いつもよりサウンドに臨場感がある気がする。
【20:00】部屋の壁に勧められて風呂に入ることにする。
【20:04】お湯がいい具合に沸いている。さすが我が家の壁だ。
     風呂場の壁との見事な連携プレーに感動する。
【20:06】タイル達と一緒に幸せを噛み締めながら温まる。
     我が家の風呂にはタイル達の為に浴室暖房機が設置してある。
【20:51】長風呂はのぼせるからいけないと風呂の壁が注意してくれる。
     ありがとう。お前はいつも優しいな。
【20:52】さて、早いけど今日はもう寝るか。
【21:00】布団が暖かく俺を迎え入れてくれる。ナイトキャップも忘れずに被る。
【21:03】みんなの暖かな視線を感じながら就寝。
【21:04】おやすみ…。
  ・
  ・
【24:02】YUKKE「いい加減に帰りなよ。」
     逹瑯「帰れねぇ〜…こんな頭じゃ外に出れねぇ!!」
     YUKKE「前々から十分禿散らかしてるじゃんか…」
     逹瑯「おま!ヌッ頃す!!」
     YUKKE「なんで俺がこんな目に合わなきゃなんねーんだよ!」
     逹瑯「待て!10発くらい殴らせろっ!!」
     YUKKE「冗談じゃない!ぐっちゃの阿呆ぉーーーー!」

【24:05】ミヤ「っくしゅ!…んん…。」
【24:06】カーテン「雅哲くん、風邪かな?」
     窓「ベランダで寝てたからね。」
     布団「大丈夫だよ、しっかり暖めてるから。」
     シーツ「新入りもしっかり暖めてるだろ?」
     ナイトキャップ「もちろん。」
     枕「ふふ、頼もしい奴だぜ。」
     壁「雅哲くんが起きてしまうだろ、みんな静かに。」
     目覚まし時計「そうよ、起こすのは私の仕事よ。」
     一同「……………(雅哲くん、いい夢を…)。」


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